アブサン・カクテル

 かつて芸術家達がこぞって愛した酒があった。フランス、スイスなどを中心にヨーロッパ各国で作られる薬草系リキュール、アブサンだ。ニガヨモギをメインとしてアニスやフェンネルの香りが飲むたびに様々な表情を見せてくれる。

 貧乏でワインが飲めなかった市民がこれを水割りにして辛い日々を消化したように、多くの画家や音楽家もアブサンを浴びるように飲み、そしてそれを題材とした作品を数々残している。”緑色のミューズ”が最も有名だろうか?

 好みのアブサン 40ml

 角砂糖 1〜2個

 ミネラルウォーターで割って度数や甘さを調味する。

「アブサン・カクテル」はバーでアニス酒を楽しむ時に行う儀式的な要素も孕んでいる。高濃度のアルコールに浸された角砂糖に火が点き、徐々に溶け落ちる様をカウンター越しに見守っていると、その日起きたら厭な事柄も今だけは忘れようという気にさせてくれる。

 しかしながら、甘く、香り高く、度数の高さを感じさせないその1杯が多くの中毒者を出し、大昔に生産禁止を受けていた事をゆめゆめお忘れなきように。現在はその成分ツヨンは取り除かれて発売しているが、そもそもこのカクテルは美味しすぎるのだ…

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